12月15日、「第2回 将棋電王戦」の対戦カードが発表されました。将棋電王戦とは、公益社団法人日本将棋連盟などが主催する、将棋プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトによる将棋棋戦です。
今回は、今年5月に開催された第22回世界コンピュータ将棋選手権でベスト5となった 5つのソフトと、現役のプロ棋士5人が初めて対戦し、その様子はニコニコ生放送で中継されます。
日程は以下のとおりです。
第1局 3月23日(土) 阿部光瑠 四段 vs 習甦(しゅうそ)
第2局 3月30日(土) 佐藤慎一 四段 vs ponanza
第3局 4月6日(土) 船江恒平 五段 vs ツツカナ
第4局 4月13日(土) 塚田泰明 九段 vs Puella α
第5局 4月20日(土) 三浦弘行 八段 vs GPS将棋
どの対戦も興味深いですが、やはり注目されるのは第5局ということになるでしょう。
三浦八段は、プロ棋士の中でも10人しかいない“A級棋士”と呼ばれるトップ棋士の1人です。羽生善治氏(現3冠)のタイトル7冠独占を崩した棋士としても知られており、粘り強い指し回しに定評があります。
一方のGPS将棋は、第22回世界コンピュータ将棋選手権を圧倒的な強さで優勝したソフトです。東京大学大学院総合文化研究科の教員と学生らが開発し、同大のキャンパスに設置した約670台のパソコンと接続することで、1秒間に約2億8千万手を読むことができるそうです。

将棋は9×9の81マスの盤面の中で、40枚の駒を動かし戦うゲームです。初形で、先手が1手目にルール上指せる手は30通りです。しかし局面が進むにつれ、指せる手の数は増えていき、平均80通りほどから選択することになります。将棋の平均手数は115手~120手ですから、桁外れの可能性が考えられ、プロ対局の歴史の中で1手目から終局まで全く同じという対局はこれまでにありません。
よって、指手探索は膨大な樹構造になり、圧倒的な処理能力を誇るGPS将棋といえども、どの手を深く読むか判断しながら計算をしています。特に、「玉の横がふさがっているか」、「飛車と角と銀の連係がとれているか」など形に関する特徴を評価関数に多数取り入れたアルゴリズムを採用しており、以前のコンピュータ将棋では指せなかったじっくりとした好手も指せるようになったことが強さの秘訣とも言われています。
チェスの世界では、15年前の1997年に、IBMのスーパーコンピューター「Deep Blue」が、当時チェスの世界王者だったゲイリー・カスパロフ氏を破り、大きな話題となりました。
果たして将棋ではどうなるのでしょうか。
将棋ファンの私としては、今回は人間の意地が見たいので、期待を込めてプロ3勝と予想したいと思います。
NICO 情報戦略チーム 中村
[関連リンク] (日本将棋連盟ホームページ)
http://www.shogi.or.jp/topics/2012/12/2-2013323420.html