2013年

3月

26日

データ分析の勧め ~Excelを使って自社の業務データを整理・分析してみよう!~ その9

第9回 データ分析・ケーススタディ3(季節変動のある商品の需要予測例)

ケーススタディ3(季節変動がある商品をどのくらい輸入するの?)

 

 

ワイン輸入商社のB社では以前からスパークリングワイン(シャンパン)が主力商品でしたが、ここ数年は普通の赤・白のワイン(スティルワイン)の取扱数量が増加し、スパークリングワインは減少傾向にあります。

 

スパークリングワインは年末の3ヶ月で年間売上の8割を占める極端に季節変動のある商品です。仕入担当であるあなたは、来年度どのような仕入計画を立てたら良いのかを判断してください。

 

輸入先は主にロンドンの商社で、ヨーロッパ各地の銘柄を取り寄せておりますが、発注から入荷まで3ヶ月という長いリードタイムが問題となっております。


<考え方の手順>

1.単月の売上推移ではなく12ヶ月の移動合計の推移を見て上げ下げの傾向を見る。

2.移動合計の傾向や販売戦略から年間販売予定数を計画し、過去2ヵ年の月次データで月ごとの季節指数を算出し、月平均予測平均需要数を掛けて月々の予測数を計算する。

3.月次予測数の3ヶ月移動合計を計算し、在庫数との兼ね合いで3ヶ月前の発注数を予測する。

 

図9-1 売上数量12か月移動合計表
図9-1 売上数量12か月移動合計表

 

スパークリングワインは日本では日常飲まれるお酒とは言い難いですね。販売数量を時系列に月々の売上数量で折れ線グラフに示しますと、図9-2のように10月から12月の3か月で年間売り上げの7割を売り上げる極端な季節販売商品と言えます。

図9-2 スパークリングワインの月次売上推移グラフ
図9-2 スパークリングワインの月次売上推移グラフ

 

従来からクリスマスの飲み物ということで年末にピークが来るのですが、最近はピークの12月を見ると年々下がっています。3月での12か月累計も年々下がり気味です。全体の下降傾向は12か月の移動合計グラフを作ると見えてきます。

図9-3 スパークリングワインの12か月移動合計グラフ
図9-3 スパークリングワインの12か月移動合計グラフ

 

図9-3のように、季節変動の激しい商品は単月の動きではなく、12か月合計のような大きなくくりで見ていくと販売傾向が俯瞰できます。図9-1の数字でも分かりますが、グラフにすると一目瞭然、下降傾向が鮮明に見えてきます。ところが図9-2の月次グラフを見てみますと、3月と6月に小さな突起が出ており、年々高くなっています。これはスパークリングワインがクリスマス時期の特別な飲み物から、何かのイベントごとに使われる商品に代わりつつあるのではないか、ということを示しています。

 

そこで、担当営業が詳細に調査したところ、3月、6月はホテルやイベント会場からの需要が多いことが分かりました。3月は女子大の卒業式の謝恩会、6月は結婚披露宴の需要が旺盛で、それぞれ単なる乾杯だけでなく、宴の続いている間、飲み続けられているとのことです。これをヒントに、今後の販売戦略を見直していくことを決めたところです。

 

ところで、2012年度はどのような仕入計画を行ったらよいでしょうか。考え方の手順で示した季節指数を算出して、予測値を計算してみましょう。

 

図9-4 季節指数を考慮した各月の予測販売数
図9-4 季節指数を考慮した各月の予測販売数

※季節指数 =各月3年合計÷月平均値

 月販売予測=予測月平均値×季節指数

 

図9-1の各月の売上数量を年度ごとに横並びにした表にして、図9-4のように季節指数を算出し、新しい年度、ここでは2012年度の年間販売予測数を、販売戦略を基に計画し、月平均予測数から各月の需要予測を算出したものです。この時の年間販売予測数は販売戦略の結果、営業部門が出してきたものです。先ほどの例でいうと、12月は横ばい、3月や6月のイベントを増やし、さらに個別イベントでも飲んでもらうべく販促活動を行う、という販売計画を立てて、前年度落ち込んだ数量を一昨年並みに回復しようということで決めた数値です。さらにこの予測値から3月や6月の販促で、もっと需要を見込むということならば、さらに数値を上積みして最終的な販売予測数を決定していきます。


この結果を受けて、仕入計画は、この例のように荷の到着に3か月の期間がかかるのであれば、需要に合わせて3か月合計分を計算し、どのように仕入れていくのかの仕入計画も併せて作成してください。


いかがでしたか。ここでの目新しい「物差し」は季節指数でした。前回も購買指数の例を挙げましたが、それぞれの部門で判断できる「物差し」としての数値を把握して、判断の基準にすることがデータ分析の要と言えます。

 

NICO情報戦略チーム 星野

 

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